テナガの繁殖は容易ではありません。
しかし不可能ではなく、環境さえ整えば十分に可能なので、チャレンジしてみてはいかがでしょうか?

汽水域から出られないテナガは、ゾエア幼生期間を卵の中で過ごし、ある程度発達した形で孵化するものと見られているようです。
陸封型のテナガの繁殖は容易といっても良いかも知れません。

卵から孵化した「ゾエア」と呼ばれる幼生は、川の下流域に生息している場合、水の流れに乗ってより塩度の高い汽水域、または海まで下り、そこで成長して再び川へと遡上してきます。
この「ゾエア」を育てるのが一番の難点で、これさえクリアできれば後がラクになってきます。

陸封型は別として、ゾエアの育成には塩分が不可欠であり、その塩分濃度の適正値を知る必要もあります。
適正値は3.3〜20%が妥当です。
ゾエアは淡水でも1〜2日は生存しますが、そのままにしておくとあっという間に死滅します。

ゾエアの飼育方法について書いてみます。

■飼育密度
1リットルの容器に対して、20匹程度の飼育密度が最適。

■適正塩分濃度
3.3〜20%にする。できれば天然海水が好ましい。

■水温
25℃前後

■水質
水質悪化に弱いので、毎日飼育水を交換する。これが結構難しいと思います。

■エサ
ワムシが最適。ブラインシュリンプの幼生でも可。

■成長日数
数日毎に脱皮を繰り返し、約1ヶ月で稚エビに変態します。
その後は徐々に淡水に慣らして、最後は完全に淡水にして普通に水槽で飼育します。


以上、簡単に書いてみましたが飼育される方は途中経過などをお知らせ頂けたら幸いです。